一般貨物自動車運送業で使える車庫とは?

一般貨物自動車運送業を始めるにあたっては色々なものを揃える必要があります。多くのものは資金さえあればなんとかなります。しかしながら、一般貨物自動車運送業では使用する『車庫』にはさまざまな要件が課されており、資金があってもなかなか見つけ出せなかったりします。

そのため何よりも先に『車庫』を確保するのが重要なわけです。このコラムではその『車庫』の要件について分かりやすく紹介していきます。

注意

玉藻行政書士事務所は東京都江戸川区にある、東京都・千葉県北西部・埼玉県を活動地域とする行政書士事務所です。そのため関東運輸局の審査基準をもとにコラムを執筆しております。他の運輸局圏内では当てはまらない事項がある可能性があります。あらかじめご了承ください。

車庫と駐車場の違い

まず理解していただきたいのが、車庫と駐車場の違いです。

ここでいう車庫とは一般貨物自動車運送業において使用する貨物車を保管しておくための場所のことです。そして駐車場は一般的な月極駐車場などを思い浮かべていただけたらと思います。

月極駐車場でも大型のトラックをとめられる大きなものがありますが、後述する理由で多くの場合はそれらの駐車場を車庫として使用はできません。

そのため、車庫を探す場合は駐車場ではなく”土地”を探していただくことになります。

営業所から20km(もしくは10km)以内であること

基本的は営業所と車庫を併設するのが原則ですが、首都圏内は広い土地を確保するのが大変ですので特例としてある程度離れ場所でも良いことになっています。

東京都特別区、神奈川県の横浜市および川崎市では、営業所と車庫が20km離れていても大丈夫です。

またその他の関東の地域では10km離れていてもOKです。

この距離は直線距離ですので、地図で簡単に測ることができます。

農地はNG

農地は農地法によってたとえ自己所有の土地であっても、建物を建てたりして農地以外の用途にすることはできません。

農地以外に使用したい場合は、農地転用によってあらかじめ許可を取得する必要があります。

どうしても車庫として使用したいならば農地転用をする必要があります。

広さに余裕があること

一般的な駐車場を使えない理由として大きなものが、法令のなかにある「車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること。」という条文にあります。

これは簡単に言ってしまうと、使用する貨物車の前後左右50cm以上の余裕をもって入れられる広さであることを求められているのです。

通常のトラックは車幅が2.5mありますので、それを駐車するために土地も幅3.5mなくてはなりません。そんな月極駐車場はまあそうそう無いわけです。

一般貨物自動車運送業を新規で始めるには最低5台の貨物車を集めなくてはならないのですが、それらをすべてこの余裕をもって収容できる広さが必要なわけです。

ただどうしても車両すべて収まる土地が見当たらない場合は、車庫を分割することもできます。また月極駐車場であっても2台のスペースを借りて使用するなんてことも考えてもいいかも知れません。

前面道路が公道の場合は道幅が広いこと

一般貨物自動車運送業の車庫はトラックが出入りするわけですから、車両制限令をクリアしている必要があります。

車両制限令とは簡単に言ってしまうと大きい車両は狭い道路を通行することを規制する法律です。

そのため車庫として使用する土地の前面道路がこの車両制限令をクリアしているか確認する必要があるわけです。その道路の通行量によって必要な道幅は変わってきますが、おおかた6~6.5m以上あれば車両制限令をクリアしています。

実際にはクリアしているかはその土地を管理する自治体において幅員証明書を取得することが絶対に必要です。幅員証明書については以下のコラムに書きましたのでご確認ください。

幅員証明書とは?読み方・なぜ必要なのか・取得方法を分かりやすく解説

前面道路が私道の場合は通行承諾が取れる

前述の車両制限令は公道についての法律ですが、車庫の前面道路が私道の場合は規制されませんので関係ありません。

ただし、前面道路が私道の場合は『通行承諾書』を取り付ける必要がでてきます。申請にあたっては書類として提出することが必要ですので、私道の所有者との口約束ではなく実際に署名や捺印をしてもらうことになります。

2年以上の使用する権利が取れる

一般貨物自動車運送業としてこれから事業をしていくのですから、ちゃんと安定した契約のもと車庫を使用していく必要があるわけです。そのため車庫を借りる場合は、賃貸契約は契約期間が2年以上あることが必須となります。

ただし契約期間としては1年でも、自動更新のついた契約でしたら大丈夫です。

短期契約かつ自動更新のない契約の場合は車庫と使用できませんので注意してください。


玉藻行政書士事務所では貨物運送業(一般貨物自動車運送事業)の各種申請について取り扱っております。お気軽にご相談ください。

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