2018年現在、インバウンドは隆盛を極め、観光事業での景気とは裏腹にあらゆる問題が社会問題になっているのが実情です。
その問題の一つがタクシーやハイヤーの不足です。
その新規参入の難しさから、国土交通省大臣の許可を受けていない非合法な事業者、いわゆる白タクが多くなってしまっています。そのため利益の取り逃しや事故時のトラブルが問題となっているのです。
なぜ新規参入が難しいのでしょう。またそれでも新規参入をしたい場合はどのようにすればよいのでしょうか。分かりやすく解説していきたいと思います。
なぜ新規参入が難しいのか
特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法によって車両数が制限されているためです。やたら長い名称ですがれっきとした法律なんです。
特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法とは
通称・改正タクシー特措法と呼ばれています。昭和45年のタクシー業務適正化特別措置法から何度も改正・廃止を重ね、現在の最新の法令は平成26年1月に施行されたものとなっています。
この法令によって指定地域・特定地域・準特定地域が指定され、それぞれの地域のよって違う規制がなされています。指定外の地域では講習を受ければタクシー運転手として登録されますが、指定地域では試験による選抜がなされます。。
また原則では新規参入は許可制、増車は届出制になっていますが、特定地域と準特定地域においては厳しい制限が課されています。
特定地域においては、新規参入・増車が禁止となっており、強制力のある減車措置もあります。また準特定地域においても新規参入は許可制となっており困難な状況となっています。
指定地域・特定地域・準特定地域の調べ方
告示されていますが少々分かりづらいので、各地方運輸局に問い合わせるのが確実です。地方運輸局は北海道、東北、関東、北陸信越、中部、近畿、中国、四国、九州の9つがあり、沖縄に関しては内閣府沖縄総合事務局運輸部が管轄しています。
北海道運輸局
東北運輸局
関東運輸局
北陸信越運輸局
中部運輸局
近畿運輸局
中国運輸局
四国運輸局
九州運輸局
内閣府沖縄総合事務局運輸部
なぜ新規参入を制限するようになったのか
平成21年の旧タクシー特措法の時は長引行きた景気低迷とリーマンショックにより、タクシーへの需要がかなり落ち込んでいました。それによりタクシーの供給過剰化が進行し、運転手の賃金水準の低下が問題となっためです。
また平成26年の改正タクシー特措法の時も、やや賃金水準は回復傾向にありましたが、期待したよりも伸び悩んでいたため、さらなる対策が必要だったのです。
それでも新規参入をするには
多くの事業者は、事業承継という形で新規参入をしています。しかしながら事業承継は経営者の高齢化や後継者の選任が困難だった場合に発生することが多く、そうそうタイミング良く見つかるものではありません。
現状としては特定地域・準特定地域においてタクシーの新規参入をするのは困難ですが、唯一打開策があります。それは、都市型ハイヤーでの新規参入です。
都市型ハイヤーとは
改正タクシー特措法においては規制だけでなく、供給輸送力を増加させる措置についても定めています。
現在、供給輸送力の増加措置対象とされているのは以下の2つです。
- 福祉タクシーを使用して行う一般乗用旅客自動車運送事業及び専ら障害者等及びその付添人の運送の用に供する車両
- ハイヤーを使用して行う一般乗用旅客自動車運送事業のうち、契約形態等に照らしてタクシー事業と著しく異なる形態で行われるもの(都市型ハイヤー)及び専ら当該事業の用に供する車両
都市型ハイヤーはこの2.にあたります。
タクシーとハイヤーの違いはでは以下のように定義されています。
ハイヤーとは、運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものをいい、それ以外をタクシーといいます。
つまりハイヤーは流しの営業ができません。
さらにハイヤーの中でも都市型は以下のように述べられています。
ハイヤーのうち「都市型」とは、「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法施行規程」(平成26年国土交通省告示第56号)第2条第3号イ「一日を超える期間を単位として専属で常時運送を提供できることとするための契約(書面によるものに限る。)に基づいて締結される運送契約のみにより行われる(イのものを除く。)」事業の用に供する事業用自動車とし、「その他は」とは、「都市型」に該当しないハイヤーとする。
具体例でいうと都市型ハイヤーとは旅行業者と契約して空港から各観光地を回るようなハイヤーのことを指します。
特定地域・準特定地域のおいても増車抑制等の規制の適用がされず新規参入ができます。