一般貨物自動車運送事業を始めるための4つの大前提を分かりやすく解説

最近、貨物車を所有されている企業さまの中で、事業の多角化の一環として『一般貨物自動車運送事業』に参入される方が増えています。

たとえば製造業では製品を搬入する取引先から輸送を頼まれる場合や、建設業で他社が所有する土砂をダンプで輸送したいなど、『一般貨物自動車運送事業』の許可により容易に事業が拡大できるためです。

さて今回はその許可を取得するために必要な4つの大前提を分かりやすく解説していきたいと思います。

注意
このページは関東で『一般貨物自動車運送事業』の許可申請することを前提に書かれています。地域によって審査基準が決められていますので、関東以外で申請する場合はご注意ください。

4つの大前提とは

『一般貨物自動車運送事業』の許可取得で必要となる4つの大前提は以下の通りです。ちなみに当事務所では、こちらの4つがクリアできる見込みが立ってから許可申請の手続きの委任契約をさせていただいております。

  1. 資金
  2. 人員
  3. 不動産
  4. 車両

資金

5台以上の貨物車(軽自動車を除く)事業計画の作成および資金調達の証明

許可の申請において申請書の中に『事業計画』の項目が設けられています。営業所・車庫・休憩所はどこにするか、また車両は何台使用するかなどの事業開始後の具体的な施設や設備について決めておく必要があります。

またその事業計画で示された施設や設備を整備するための資金調達についても要件となっています。

資金調達では、車両費や建物費、人件費や燃料費など運輸開始後の2か月分に必要な運転資金等を細かく計算していきます。そしてその経費を支出できるだけの資金力があるかどうかを証明します。具体的には銀行口座の残高証明書を提出することよって証明します。

  1. 車両費
  2. 建物費
  3. 土地費
  4. 保険料
  5. 各種税
  6. 運転資金

資金は新規開始の場合は1000~2000万円必要と一般的には言われていますが、すでに他の事業をされている場合は、車両購入費は必要なく、人件費がすでに確保されている状態ですのであまり気にする必要はないでしょう。

人員

運転者・運行管理者・整備管理者の確保

『一般貨物自動車運送事業』では主に以下の3種類の役職があり、それぞれ人員を選任する必要があります。

  1. 運転者
  2. 運行管理者
  3. 整備管理者

運転者

トラックを運転するドライバーのことです。後述しますが許可取得のためには車両が最低5台必要ですので、運転者も最低5人確保している必要があります。

運行管理者

運行の管理、運転者の監督・指導や運行前の点呼などを行います。

関東では運転者・運行管理者を許可申請時に同一の者を選任することができますが、実際の業務の際にはその日、運行管理者としての業務を行うならば運転者として業務はできません。運転者として業務も行いたいならば運行管理補助者に点呼してもらう等の対応が必要なので注意してください。

車両が29台までの場合は運行管理者は一人選任すれば大丈夫です。

運行管理者になるためには、基礎講習を受け年2回実施されている運行管理者試験に合格するか、すでに運行管理者としての実務経験が1年以上ある必要があります。

整備管理者

使用する車両の管理・整備また車庫の管理をするのが整備管理者です。

整備管理者は運転者・運行管理者とともに兼任することができます。許可申請にあたっては車両の台数に関わらず一人を選任すれば大丈夫です。

整備管理者になるには、3級以上の整備士免許を持っているか、2年以上の実務経験と研修を受けることが条件です。

不動産

営業所・休憩所・車庫の確保

『一般貨物自動車運送事業』に必要なものして以下の3種類の施設について要件が設定されています。すべての施設について使用権原を有しいている必要があります。不動産の登記謄本や賃貸の場合は1年以上の契約期間の賃貸契約書を提出します。

  1. 営業所
  2. 休憩所
  3. 車庫

営業所

車庫から10kmまたは20km以内の場所にあることが必要です。農地法、都市計画法、建築基準法に抵触していないことを確認しましょう。

休憩所

運転手の休憩のために使用されます。深夜帯の運行など運転者が睡眠を取る必要がある場合は、その運転者1人あたり2.5㎡以上の広さが必要です。あとは営業所と同じ条件となります。

車庫

車両と車庫の境界および車両相互間の間隔が50cm以上確保される広さが必要です。すべての車両について同一の敷地内に車庫を設ける必要はなく、バラバラの場所にあっても構いません。

前面道路に十分な幅員があることが必要です。6mの幅員があればだいたいどの大きさのトラックでも大丈夫です。自治体の土木部などで幅員証明書を取得し証明します。

車両

5台以上の貨物車(軽自動車を除く)

車検証の用途欄に『貨物』と記載されている必要があります。

ハイエースなどの小型貨物車が混ざっていても5台以上あれば大丈夫です。もちろん小型貨物5台でも構いません。

ただ、けん引車と被けん引車はセットで1台とカウントします。(けん引車2台被けん引車1台では1台となります)

補足~許可なく事業を行うと~

三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処されます。

また近年ではコンプライアンス遵守のために取引先に許可をしっかり取得していることを条件にしている企業も増えています。

慣習で無許可で事業の行っていることが多い業界もありますが、発覚した場合の社会的信用の損失は計り知れません。ぜひ一刻も早く許可を取得するようにしましょう。