倉庫業では、期末ごとに「期末倉庫使用状況報告書(第8号様式)」及び「受寄物入出庫高及び保管残高報告書(第9号様式)」の提出が義務付けられています。ありがたいことに、今では国土交通省のほうで電子報告をするためのウェブフォームを用意してくれていますので、オンラインで提出をすることができます。
このコラムでは、期末倉庫使用状況報告書および受寄物入出庫高及び保管残高報告書を電子報告するにあたり、どのような事項と数値を入力すればよいか徹底的に解説いたします。
基本的な情報から解説
期末ごととは?
期末は6月、9月、12月、3月です。
倉庫業法施行規則では、以下のようになっています。
倉庫業者は、毎四半期(四月を起算月とする毎三箇月を一の四半期とする。)ごとの期末倉庫使用状況を記載した期末倉庫使用状況報告書(第八号様式)並びに受寄物入出庫高及び保管残高を記載した受寄物入出庫高及び保管残高報告書(第九号様式)を、当該四半期の経過後三十日以内に当該倉庫業者の営業所の所在地を管轄する地方運輸局長に提出しなければならない。
つまり4月を始まりとして、3か月ごとに期末倉庫使用状況報告書と受寄物入出庫高及び保管残高報告書を提出する必要があります。そのため期末とは、6月、9月、12月、3月となります。そして、提出は期末経過後の30日以内までとなっていますので、具体的な提出期限は以下となります。
- 4・5・6月分 → 7月末日
- 7・8・9月分 → 10月末日
- 10・11・12月分 → 1月末日
- 1・5・6月分 → 4月末日
5月など期の途中から倉庫業を開始された事業者様で、まったく物品の保管をしていない状態であっても報告をするようにしましょう。入力事項に0の項目があっても問題ありません。
期末倉庫使用状況報告書とは
期末時点での、倉庫の使用状況を報告するための書類です。
使用状況とは、倉庫の面積がどのような使用をされているかということです。具体的は、以下の4つについての事項となります。
- 倉庫全体の面積
- 預かった物品を置いてある面積
- 自社の荷物を置いてある面積
- 何も置いていない空の面積
これを倉庫の種類ごとにまとめ、営業所ごとに報告します。
受寄物入出庫高及び保管残高報告書とは
月ごとに倉庫を出入りした物品の数量と残った数量、および期末時点の金額を報告するための種類です。
具体的は、以下の5つについての事項となります。
- 前期末の保管残高
- 月ごとの入庫高
- 月ごとの出庫高
- 月ごとの保管残高
- 今期末の金額
これを倉庫の種類別かつ品目ごとにまとめて報告します。また営業所ごとに報告する必要があります。
電子報告のURL
↓以下が期末倉庫使用状況報告書と受寄物入出庫高及び保管残高報告書を電子報告するためのページです。
リンク切れの場合は、お手数ですが国土交通省の倉庫業についてページからリンクをお探しください。(電子報告でページ内検索してください。)
各入力事項の徹底解説
それぞれの報告書の記載要領を徹底的に解説いたします。項目ごとに解説しています。
期末倉庫使用状況報告書の記載要領
※営業所ごと、都道府県ごとに報告
営業所ごとに、かつ、倉庫の所在する都道府県別に報告してください。つまり同じ営業所で管理している倉庫が、都道府県をまたぐ場合は、都道府県ごとに報告する必要があります。受寄物入出庫高及び保管残高報告書も、同一ページ内にありますので、同じように都道府県ごとに報告することとなります。違う都道府県の倉庫に関して報告する場合は、新しいページを開き改めて報告してください。
年度
該当年度を選択してください。
四半期
該当四半期を選択してください。
都道府県
倉庫が所在する都道府県を選択してください。(※営業所がある都道府県ではありません。)
氏名又は名称
倉庫の名称は、登録申請をした際の「新規登録申請書」や「倉庫明細書」などの記載されています。国土交通省が公開している登録倉庫事業者棟別リストにも記載されています。
営業所の名称
営業所の名称は、登録申請をした際の「新規登録申請書」や「倉庫明細書」などの記載されています。国土交通省が公開している登録倉庫事業者棟別リストにも記載されています。
登録番号
登録番号は、倉庫が登録を受けた際に発行された「登録通知書」に記載されています。数字のみです。国土交通省が公開している登録倉庫事業者棟別リストにも記載されています。
営業所番号
営業所番号は設置ごとに1から順に番号がふられています。新規登録時に営業所がひとつの場合は、営業所番号は1となります。国土交通省が公開している登録倉庫事業者棟別リストにも記載されています。
担当者
報告を行っている担当者の名前を記入してください。姓と名のあいだにスペースを入れてください。
登録者メールアドレス
報告を行っている担当者のメールアドレスを記入してください。
※倉庫の種別ごとに入力
倉庫の種別ごとにまとめ入力します。
例えば、同じ営業所で管理する同じ都道府県の倉庫があるとします。1類倉庫が1棟、2類倉庫が1棟、冷蔵倉庫が1棟ある場合は、1類倉庫と2類倉庫は2棟合計して「一~三類」の欄に、「冷蔵」の欄に1棟分の面積を入力していきます。
※面積の数値について
面積についての数量は、小数点以下を四捨五入して入力してください。
所管面積(㎡)
倉庫業として登録されている倉庫面積のみを入力してください。
自家倉庫の面積や、他社の倉庫業者に貸している面積、製造業者等への貸庫等の面積は算入しないでください。なお、そのような面積がある場合は、備考欄に、「貸庫・倉庫業者○○㎡ 非倉庫業者○○㎡」などと記入してください。
受寄物在貨面積(㎡)
受寄物とは倉庫寄託貨物すなわち倉庫保管料の適用のある貨物のことを指します。
冷蔵倉庫以外の倉庫については、受寄物の占有する面積のみとし、当該貨物の保管のために必要とされている通路、踊り場、荷ずり木等の占有する面積は算入しないでください。冷蔵倉庫の場合は、それらを含めた面積としてください。
自家物在貨面積(㎡)
自家物とは受寄物ではない自社が所有する貨物のことを指します。
冷蔵倉庫以外の倉庫については、自家物の保管のために必要とされている通路、踊り場、荷ずり木等の占有する面積は算入しないでください。冷蔵倉庫の場合は、それらを含めた面積としてください。
空面積(㎡)
受寄物も自家物も置いていない空の面積を記入します。以下となるように記入してください。
所管面積(㎡) = 受寄物在貨面積(㎡) + 自家物在貨面積(㎡) + 空面積(㎡)
受寄物入出庫高及び保管残高報告書の入力事項
受寄物(倉庫寄託貨物すなわち倉庫保管料の適用のある貨物)についてのみ報告してください。
※営業所ごと、都道府県ごとに報告
営業所ごとに、かつ、倉庫の所在する都道府県別に報告してください。つまり同じ営業所で管理している倉庫が、都道府県をまたぐ場合は、都道府県ごとに報告する必要があります。違う都道府県の倉庫に関して報告する場合は、新しいページを開き改めて報告してください。
※倉庫の種別ごと、品目分類ごとに報告
倉庫の種別ごとにまとめ入力します。
例えば、同じ営業所で管理する同じ都道府県の倉庫があるとします。1類倉庫が1棟、2類倉庫が1棟、冷蔵倉庫が1棟ある場合は、1類倉庫と2類倉庫は2棟合計して「一~三類」を選択して、冷蔵倉庫の場合は「冷蔵」を選択して入力します。
倉庫の種別ごとにまとめたら、さらに品目分類ごとまとめて報告します。
上の例でいえば、1類倉庫と2類倉庫を2棟合計して、さらにその2棟で保管している物品を品目分類で分けて報告します。
品目分類が複数ある場合は、表の右端の⊕ボタンを押して列を追加しましょう。
※数量の扱いについて
一~三類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫及び危険品倉庫並びに冷蔵倉庫に係る数量の単位は、「t」とし、普通倉庫にあっては1,000kg又は1.133㎥をもって1tとし、冷蔵倉庫にあっては1,000kg又は2.5㎥をもって1tとする。小数点以下を四捨五入すること。
品目分類
国土交通省が公開している品目分類についてのPDFを参考にしてください。
リンク切れの場合は、お手数ですが国土交通省のホームページから検索してください。国土交通省 倉庫業
前期末 保管残高(トン)
報告する四半期の前の期末に倉庫に残っていた貨物の残高を重量で入力します。初めて報告する事業者は0となります。
入庫高(トン)
四半期の第1月度、第2月度、第3月度にそれぞれの期間中に倉庫に入れた貨物の重量を入力します。
出庫高(トン)
四半期の第1月度、第2月度、第3月度にそれぞれの期間中に倉庫から出した貨物の重量を入力します。
保管残高(トン)
四半期の第1月度、第2月度、当期末にそれぞれに倉庫に残っている貨物の重量を入力します。その前月の保管残高に、当月の入庫高を足し、そして当月の出庫高を引けばその期末の保管残高となるはずです。
当月保管残高(トン) = 前月保管残高(トン) + 当月入庫高(トン) - 当月出庫高(トン)
金額(千円)
期末の保管残高(トン)を保管料等に換算した場合の金額を千円単位で入力する。
第一四半期末(7月末日までに報告する分)の時のみ入力すればよい。つまり6月末に倉庫にある保管残高を、金額(千円)に換算する。
また冷蔵倉庫については、いずれの時期においても入力する必要はない。
報告しなかった場合に、罰則はあるのか
倉庫業法には以下のような条項があります。
またこれに反するものには以下のような罰則が規定されています。
ただし、ここでいう報告が期末倉庫使用状況報告書および受寄物入出庫高及び保管残高報告書のことを指すわけではなく、あくまで重大な事案が発生した際に国土交通大臣が事業者に求める報告について指している可能性があります。
どちらにせよ、報告は義務であることは変わりないので、忘れず報告するようにしましょう。
↓そのほかの倉庫業における罰則について紹介していますので、是非ご覧ください。