【倉庫業】床の防湿措置の審査基準について分かりやすく解説します【営業倉庫】

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シリーズ第六段として1類倉庫の床の防湿措置の審査基準について解説していきます。床の防湿措置はさほど難しくはありません。また適合のための費用も他の部分に比べたら高くはならないでしょう。

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上部の枠内に法令の条文を示し、その下に解説が書かれています。

前提条件

2-5 床の防湿措置(則第3条の4第2項第4号)

一類倉庫の床については、土地からの水分の浸透及び床面の結露を防ぐため、以下のうちいずれかの措置が講じられていなければならない(告第5条)。

解説

建築基準法施行令においては防湿について以下のように定めています。

(居室の床の高さ及び防湿方法)
第22条 最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合及び当該最下階の居室の床の構造が、地面から発生する水蒸気によって腐食しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、この限りでない。
一 床の高さは、直下の地面からその床の上面まで四十五センチメートル以上とすること。
二 外壁の床下部分には、壁の長さ五メートル以下ごとに、面積三百平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。

これは後述の『ニ』の条件と一致します。つまり床が木造であり建築確認をパスした倉庫は自動的に『床の防湿措置の審査基準』をクリアしたことになります。しかしながら倉庫の床の強度は3900N/㎡以上の積載荷重が条件となっていますので、木造の床である倉庫はあまり多くはありません。その場合は別の方法により防湿していくことになります。

アスファルト舗装

床面にアスファルト舗装が施されていること(告第5条第1号)。

解説

アスファルトは原油からガソリンや灯油などを精製した残りなので『油』の一種であり、水を弾く特性を持っています。そのためアスファルトルーフィングを利用したアスファルト防水が昔から多く施工されています。倉庫の床にあたってはルーフィングを使用した防水では耐久性に難がありますので、道路と同じような舗装をします。

コンクリート造では

床がコンクリート造のものにあっては、コンクリートの下にポリエチレンフィルム等の防水シートが敷き詰められていること、又はコンクリートの表面に金ごて押え等により有効な防湿措置が講じられていること(告第5条第2号)。

解説

多くのコンクリート造の建設において採用されている方法です。基礎にコンクリートを流し込む前に、土の上に防湿シート敷き詰めます。

金ごて押えとはコンクリートの仕上げの方法のことで、コテを使って表面をつるつるに仕上げます。コテで押さえることにより、凝固の始まったコンクリートが再度練り混ぜられ強度が増大します。また表面に出てくるレイタンスと呼ばれる穴の多く空いた脆弱な層を排除し、湿気が入り込まないようにする効果があります。


コンクリート板敷またはレンガ敷では

床がコンクリート板敷又は煉瓦敷のものにあっては、有効な防湿措置が講じられていること(告第5条第3号)。

解説

コンクリート造と同じように地面と床材の間に防湿シートが敷いてあれば大丈夫です。


板敷では

床が板敷のものにあっては、床組部分の通風のため、床下換気孔が設けられていること(告第5条第4号)。

解説

建築確認をパスしていればこの条件は自動的にクリアしています。


ベタ基礎やかさ上げ

前各号に掲げるもののほか、これらと同等以上に土地からの水分の浸透及び床面の結露の防止

解説

基礎がベタ基礎と呼ばれる鉄筋コンクリートによる基礎の場合、地面と床面が離れていますので湿気に強いという特徴があります。

あとは床のかさ上げ工事などがありますがそれなりの費用が掛かりますので、工務店の方とご相談されると良いでしょう。


その他の施設基準について

倉庫業審査基準シリーズとしてその他の施設基準についても解説しています。ぜひご覧ください。