そもそも倉庫業法とはどういう法律なのか

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倉庫業法とはどういう法律なのか

概要

そもそも倉庫業は誰でも自由に行って良いわけでなく、倉庫業法という法律によって縛られています。

つまり倉庫業法は倉庫業と何かということを法律によって規定しているのです。

そのため倉庫業を営もうとするならば倉庫業法を遵守する必要があるのです。

倉庫業法は昭和31年に公布1された法律です。

令和2年現在までに12回の改正を行っており、最新の改正は平成30年です。

第1章から第5章までで構成され、全部で第32条まであります。ここに文章

注意

倉庫業法の改正はめったにありませんが、当サイトの記述が改正前のものの場合もありますのでご注意ください。

目的

倉庫業法の第一条に以下のように記されています。(参考 e-Gov 倉庫業法

第一条 この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉庫証券の円滑な流通を確保することを目的とする。

 

つまり倉庫業法は以下の3つを目的としています。

  1. 倉庫業の適正化
  2. 利用者の保護
  3. 倉庫証券の流通

倉庫業とは

倉庫業とは報酬を得て客の荷物の寄託を受ける業務のことです。一方が相手方のために物品を保管することを約束し、実際に物品を受け取ることで成立する契約のことをいいます。

倉庫業の基本的なことについては是非以下の記事をご覧ください。

【初心者向け】倉庫業(営業倉庫)申請 Q&A

関連法令との関係

倉庫業法には以下の4つの関連法令があります

  • 倉庫業法施行令
  • 倉庫業法施行規則
  • 倉庫業法第3条の登録の基準等に関する告示
  • 倉庫業法施行規則等運用方針

それぞれの概要と関係は以下のようになっています。矢印で結ばれた方向に法律を細かく補足する関係になっています。

倉庫業関連法令等

倉庫業法を守らなくてはならない人

倉庫業法を遵守する必要があるのは倉庫業者だけではありません。倉庫業法の条文では以下の者たちが法令を遵守する必要があると定めています。

  • 倉庫業の申請をしようとする者
  • 倉庫業者(登録をすでに受けてた者)
  • 国土交通大臣
  • 倉庫業に似たビジネスをする人(トランクルーム等)

倉庫業法の罰則

倉庫業法にも罰則規定があります。他の記事にまとめていますのでご覧ください。

倉庫業法違反の罰則について

倉庫業法についての書籍

倉庫業実務必携には倉庫業法その他関連法令、民法・商法の倉庫業に関連する部分についても掲載されています。

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倉庫業法各条文の概要

それでは倉庫業法のそれぞれの条文は何について書かれているのでしょうか。ここではあえて読み通しやすいように条文自体は載せずに概要だけ書いていきます。倉庫業法にどのようなことが書かれているのかを把握するためにご使用ください。(参考 e-Gov 倉庫業法

第1章 総則

第1条

倉庫業法の目的

第2条

『倉庫』『倉庫業』『トランクルーム』『倉庫証券』の定義

第2章 倉庫業及び倉庫証券

第3条

倉庫業には登録義務がある

第4条

登録を受ける際には提出する事項がある

第5条

国土交通大臣は登録の申請があった場合は登録簿に登録する義務がある

第6条

国土交通大臣は規定にあてはまる場合は登録を拒否しなくてはならない

第7条

登録を受けた者が重要事項を変更する際には変更登録の義務がある

第8条

倉庫業者は開業前に倉庫寄託約款を定めて届出る義務がある

第9条

倉庫業者は料金を見やすいところに掲示する義務がある

第10条

倉庫業者は利用者に対して差別的扱をしてはならない

第11条

倉庫業者は倉庫管理主任者を選定しなくてはならない

第12条

倉庫業者は使用する倉庫の設備基準を満たす必要がある

倉庫業審査基準シリーズ目次

第13条

倉庫証券の発券には国土交通大臣の許可が必要である

第14条

倉庫業者は倉庫証券を発券する場合には火災保険を付帯する義務がある

第15条

国土交通大臣は改善命令を出すことができる

第16条

倉庫業者は他人に名義貸しをしてはならない

第17条

倉庫業は事業の承継を行うことができる

第18条

発券倉庫業者は事業の承継を行うことができる

第19条

倉庫業者が死亡した場合の相続人は倉庫業を相続できる

第20条

倉庫業者は廃業した場合は届出をする必要がある

第21条

国土交通大臣は営業停止命令または登録の取消をすることができる

第22条

国土交通大臣は倉庫証券の発行の停止または許可の取消をすることができる

第23条

登録・許可・認可には条件を付けることができる

第24条

国土交通大臣は届出などがあった場合は登録の取消しをしなければならない

第3章 トランクルームの認定

第25条

倉庫業者は基準に適合すれば優良トランクルームの認定を受けることができる

第25条の2

優良トランクルームの認定をける際には提出する事項がある

第25条の3

規定にあてはまる者は優良トランクルームの認定を受けることができない

第25条の4

国土交通大臣は基準に適合しなければ優良トランクルームの認定をしてはならない

第25条の5

優良トランクルームの認定を受けた倉庫業者はその基準への適合を維持する必要がある

第25条の6

優良トランクルーム業者は重要事項を変更する際には変更登録の義務がある

第25条の7

何人も優良トランクルームと勘違いするような紛らわしい名称を使用してはならない

第25条の8

優良トランクルームの倉庫業者は倉庫管理主任者を選任することができる2

第25条の9

第21条により優良トランクルームの認定を取り消された場合はその効力を失う

第4章 雑則

第25条の10

倉庫業を営む者以外の者は、倉庫業者だと勘違いするような紛らわしい行為をしてはならない

第26条

国土交通大臣は地方運輸局長に権原の委任をすることができる

第27条

国土交通大臣は立ち入り調査を行うことができる

第5章 罰則

倉庫業法違反の罰則について

第28条

この規定に違反したものは1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金またはそれを同時に処す

第28条の2

この規定に違反したものは6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金またはそれを同時に処す

第29条

この規定に違反したものは50万円以下の罰金に処す

第30条

この規定に違反したものは30万円以下の罰金に処す

第31条

従業員や使用人が第28条から第30条までの違反行為をした場合はその雇用主には同じ罰金刑を科す

第32条

この規定に違反したものは50万円以下の過料に処す

  1. すでに成立した法令等を国民一般に表示する行為です
  2. 義務ではありません