倉庫業を営むためには国土交通大臣の登録を受ける必要があります。そして、その倉庫業で使う倉庫のことを”営業倉庫”と呼びます。ところで倉庫業は他人の物を預かって報酬を得るわけですから、その営業倉庫の立地条件というのは重要になってくるわけです。メーカーや卸会社などの流通経路から遠く離れた場所に営業倉庫を設置したとしても運賃と時間が無駄にかかってしまい誰も利用してくれないからです。
今回はそんな営業倉庫を立てる場所をインターネットのみでおおかた探す方法についてご説明していきたいと思います。
目次
大前提!まずはこれだけは注意
営業倉庫は建てられる用途地域が限られています。
営業倉庫は大型の貨物車が出入りしたり、営業時間が深夜にも及ぶことがあるために地域住民の迷惑にならない用途地域にしか建てることができません。
営業倉庫が建てられるのは以下の6つの用途地域です。またこれ以外にも市街化調整区域でも営業倉庫は建てられません。市街化調整区域とは用途地域の設定をされていない市街化を制限すべき土地のことです。
用途地域による制限はいかなる方法をもってしても回避できません。つまり建築確認申請をしても許可が降りません。土地を購入した後に実は営業倉庫が建てられない土地だった、ということがないようにこの用途地域による制限だけはゼッタイに気をつけましょう。
良さそうな土地を見つけたらまずは用途地域の確認をしてください。各自治体で都市計画図をインターネットにて公表しています。
検索サイトで【自治体名 都市計画図】で検索してみてください。
インターネット上の都市計画図が古い自治体もありますので最終的には直接電話で問い合わせるか、倉庫業の許可申請を依頼しようと予定している行政書士に確認してもらいましょう。
産業が活発な場所に倉庫はなくてはならない
上の図は商品を工場から消費者までの届ける一般的な物流経路を示した図です。倉庫を建てる場所は産業が活発な場所、つまり多くの業者が集まる場所に建てなくてはなりません。
産業が活発な場所とは!?
工場や多くの業者が集まる産業の活発な場所はどうやって探せば良いのでしょう?
それはずばり営業倉庫が建てられる場所です。
はあ?と思われるかも知れませんが、実は当たり前のことなのです。
先に説明した通り、建物を建てる際には用途地域が適合していなくてはなりません。それは営業倉庫だけでなく、工場も同じことなのです。下の表を御覧ください。
ご覧の通り、多くの種類の工場は住居専用地域はもちろん住居地域には建てられません。倉庫業倉庫(営業倉庫のことです)は珍しく準住居地域に建てられますが、それ以外は近隣商業地域以上の用途地域でしか建てられないのが工場と共通しています。
全国の物流用の用途地域をマッピング!
しかしながら用途地域は各地方自治体が定めていますので、特定の地域の用途地域を調べるのは簡単でも、逆に全国から用途地域を基準に土地を探すのは骨が折れる作業です。ひとつひとつ自治体の都市計画図を閲覧しなくてはなりません。
そこで平成23年度に国土交通省が作成をしたデータを元に日本地図に用途地域を色付けしてみました!PDFとして配布させていただきます。参考していただけたら幸いです。
データは平成23年度と古く、現在とは用途地域が違う可能性がかなり高いです。あくまで参考までにしてください。用途地域は必ず最終的に各自治体に問い合わせてください。
↑右クリックで「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください
⇐色分けはこのようになっています。古いデータですので田園住居地域はありません。
ご覧になっていただけたら分かると思いますが、地図の大部分は真っ白です。つまりほとんどの地域は工業用用途地域ではありません。日本の多くの時では営業倉庫は建てられないのです。
しかし、その中でも集中して色付けがある地域があります。それは有名な四大工業地帯およびそれを含む太平洋ベルト地帯と呼ばれるものになるです。
↓土地のだいたいの目星がついたら
高速道路のIC(インターチェンジ)がどこにあるか確認しておこう
多くの工業地帯では高速道路もしくは幹線道路が近くに通っている場合がほとんどです。しかしながら高速道路の場合ではIC(インターチェンジ)は大きな工業地帯に対して多くあるわけではありません。やはり高速道路まで遠い場所ではあまり好ましいとは言えないでしょう。Google Map上で確認するかNEXCOが公表している高速道路マップを見て参考にしてください。
全国の高速道路とICの場所が分かる便利なサービスがあります。
大きな貨物車が出入りし易いように大きな道路に面した土地を探そう
実は玉藻行政書士事務所がある東京都江戸川区松江は工業地域に指定されている場所がいくつかあり、実際に工場や倉庫が多くあります。そして時々狭い道路で四苦八苦している大きな貨物車に出会うことがあります。住宅地域と混在しているような場所なので、歩行者や自転車が多くいますからドライバーさん達の苦労はなおさらなことだと思います。そこでやはり思うことは、大きな貨物車が出入りする可能性があるならば、大きな道路に面した所に建物を建てるべきだということです。
大きな道路の探し方は?
Google Mapでその地域を見れば一発で分かります。また国土地理院発行の地図では地図記号にて道路の幅が分かるようになっています。こちらから地図記号が確認できます。ご参考にしてください。
まとめ
営業倉庫を建てるための土地を探す方法についてまとめます。
- 営業倉庫が建てられる用途地域を探す
- ICが近くにあるかチェックする
- 大きな道路に面している土地を探す
これでインターネットだけでおおかたの営業倉庫に適した土地を探すことができます。昔みたいにとりあえず現地に行く必要がなくなり、便利な世の中になったものです。皆さまもインターネットを駆使して色々な可能性を探ってみてください。