【寄託】商法624~628条を超噛み砕いて解説【倉庫営業】

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いよいよシリーズ最終回です。

商法624条

原文

第五百二十四条第一項及ヒ第二項ノ規定ハ寄託者又ハ預証券ノ所持人カ寄託物ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テ質入証券ノ所持人ノ権利ハ競売代金ノ上ニ存在ス

○2 第六百十一条及ヒ第六百十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

現代風

第524条第1項及び第2項(売主の目的物供託及び競売の権利)の規定は、寄託者又は預証券の所持人が寄託物を受取ることを拒み、又は之を受取ること能はざる場合に之を準用す。此場合に於て質入証券の所持人の権利は競売代金の上に存在す

○2 第611条(競売代金)及び第612条(競売代金の不足)の規定は前項の場合に之を準用す

噛み砕き

商法第524条第1項及び第2項(売主の目的物供託及び競売の権利)の規定1は、物を預けた者または預証券を持っている者が預けた物の受取ることを拒み、またはこれを受取ることができない場合に適用する。この場合においては質入証券をもっている者への債権は競売によって得たお金で支払う

○2 商法第611条(競売代金)2及び第612条(競売代金の不足)3の規定は第1項の場合に適用する


商法625条

原文

第五百八十八条ノ規定ハ倉庫営業者ニ之ヲ準用ス

現代風

第588条(運送人の責任の消滅事由)の規定は、倉庫営業者に之を準用す

噛み砕き

 

第588条(運送人の責任の消滅事由)4の規定は、倉庫営業者の場合においても適用する


商法626条

原文

寄託物ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル倉庫営業者ノ責任ハ出庫ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

○2 前項ノ期間ハ寄託物ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ倉庫営業者カ預証券ノ所持人、若シ其所持人カ知レサルトキハ寄託者ニ対シテ其滅失ノ通知ヲ発シタル日ヨリ之ヲ起算ス

○3 前二項ノ規定ハ倉庫営業者ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス

現代風

寄託物の滅失又は毀損に因りて生じたる倉庫営業者の責任は、出庫の日より一年を経過したるときは時効に因りて消滅す

○2 前項の期間は、寄託物の全部滅失の場合に於ては倉庫営業者が預証券の所持人、若し其所持人が知れざるときは、寄託者に対して其滅失の通知を発したる日より之を起算す

○3 前二項の規定は、倉庫営業者に悪意ありたる場合には、之を適用せず

噛み砕き

預けた物の紛失や壊れた場合の倉庫営業者の責任は、出庫の日から1年経ったときに時効によって消滅する

○2 第1項の期間は、預けた物の全部が紛失した場合においては倉庫営業者が預証券を持っている者、ただしその者が分からない場合は物を預けた者に対してその紛失の通知を発した日よりからカウントする

○3 第1項、第2項の規定は、倉庫営業者が知っていた場合は適用しない


商法627条

原文

倉庫営業者ハ寄託者ノ請求アルトキハ預証券及ヒ質入証券ニ代ヘテ倉荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス

○2 倉荷証券ニハ預証券ニ関スル規定ヲ準用ス

現代風

倉庫営業者は、寄託者の請求あるときは、預証券及び質入証券に代へて倉荷証券を交付することを要す

○2 倉荷証券には預証券に関する規定を準用す

噛み砕き

倉庫営業者は、物を預けた者からの請求あるときは、預証券と質入証券を1つの倉荷証券にまとめて交付しなければならない

○2 倉荷証券には預証券に関する規定を適用する


商法628条

原文

倉荷証券ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル場合ニ於テ質権者ノ承諾アルトキハ寄託者ハ債権ノ弁済期前ト雖モ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テ倉庫営業者ハ返還シタル寄託物ノ種類、品質及ヒ数量ヲ倉荷証券ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス

現代風

倉荷証券を以て質権の目的と為したる場合に於て質権者の承諾あるときは、寄託者は債権の弁済期前と雖も寄託物の一部の返還を請求することを得。此場合に於て倉庫営業者は、返還したる寄託物の種類、品質及び数量を倉荷証券に記載し、且其旨を帳簿に記載することを要す

噛み砕き

倉荷証券を使って預けた物を質権の目的とした場合には、物を預けた者は債権の返済の期限の前に預けた物の一部の返還を請求するには質権者の許可がいる。この場合において倉庫営業者は、返還した預かっていた物の種類、品質および数量を倉荷証券に記載し、なおかつ旨を帳簿に記載しなければならない


  1. 商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。2損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
  2. 倉庫営業者は競売によって得たお金の中から、競売の費用、預かった物にかかった税金、保管料、その保管に関する費用を差し引いてから、その残りのお金と質入証券とを引き換えて支払わなければならない ○2 第1項の費用の他に質入証券を持っている人の債権のお金、利息、拒絶証書の作成費用を差し引いてもなおお金が余る場合は、倉庫営業者は残りのお金と預証券と引き換えて支払わなければならない
  3. 競売で得たお金が質入証券に記載されている債権の金額におよばないときは、倉庫営業者は、競売で得たお金までを質入証券に記載して、その証券を返還して、その旨を帳簿に記載しなければならない
  4. 運送業者は届け先が文句を言わず受け取り、なおかつ送料その他の費用を支払ったら、その責任を果たしたことになる。しかしその場でわからなかった紛失や故障があった場合は2週間以内に運送業者に通知した場合は責任を負うことになる。また運送業者がそのことについて知っていた場合も責任を負う。