倉庫業の軽微変更を解説:届出が必要な変更と手続きについて

倉庫業の軽微変更を解説:届出が必要な変更と手続きについて

倉庫業では変更が生じた際に届出が必要なものがあります。軽微な変更の届出(則第4条の2)と呼ばれるもので、省略して軽微変更とも言います。変更登録の手続きと比べて必要書類などは少なく簡単な届出ですが、その分失念してしまうことが多く注意が必要です。また届出を怠っていると、変更登録を行う際に、国土交通省に登録されている情報と不一致が起こり、混乱が生じてしまうことも多々あります。

この軽微な変更とは、変更登録申請またはその他の届出とは違います。(倉庫業のすべての変更続きの一覧はこちら

本コラムでは、軽微変更が必要となる具体的なケースや届出の手続きの流れについて詳しく解説します。不明点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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目次

軽微変更の届出が必要な変更とは?

届出が必要な変更は以下の9つとなります。

  1. 倉庫の用途の廃止
  2. 氏名又は名称及び住所の変更または代表者の氏名の変更
  3. 倉庫の所在地の変更
  4. 営業所の名称、所在地及び連絡先の変更
  5. 倉庫の名称の変更
  6. 資本金又は出資の総額の変更
  7. 倉庫の使用権原の変更
  8. 倉庫を現状のまま他の倉庫業者が引き継いで営業する場合
  9. 倉庫の主要構造以外の構造の変更又は屋根及び外壁に係る配管の設置その他の構造耐力上支障がない軽微な変更

1.倉庫の用途の廃止

用途の廃止とは、営業倉庫としての使用をやめることを指します。倉庫を取り壊したり、自家倉庫や運送業の一時保管場所にするなど、営業倉庫ではなくなることを言います。

ただし倉庫の一部を営業倉庫として使用しなくなる場合は、軽微変更ではなく変更登録申請(減坪)をする必要があります。

またこの倉庫の用途の廃止は、いわゆる営業の廃止とは違うことを留意してください。

2.氏名又は名称及び住所の変更または代表者の氏名の変更

氏名又は名称とは、会社または個人の名称を指します。また住所や代表者の氏名が変更になった場合も届出する必要があります。この名称変更とは事業承継によるものではなく、同一の会社や個人が名称を変更したことを指します。一方、代表者の氏名の変更は、代表者が新たな者になった場合を指します。この新たな代表者が、今までに役員でなかった場合は、「欠格事由に該当しない旨の宣誓書」を提出する必要がある可能性があります。

3.倉庫の所在地の変更

もちろん倉庫を引っ越しした場合ではなく、区画整理による地番変更で土地の名称や地番が変更された場合に、この届出を行います。倉庫が多くある湾岸の埋め立て地は区画整理が頻繁にあるため注意が必要です。

4.営業所の名称、所在地及び連絡先の変更

営業所の名称、所在地、または連絡先を変更できます。単独の変更でも、複数の項目を同時に変更する場合でも、一括して届出が可能です。さらに、営業所の所在地を管轄する運輸局が同じであれば、複数の営業所の変更も一度に届出できます。

5.倉庫の名称の変更

倉庫の名称も任意に変更することができます。ただこれ以降、変更登録申請や変更の届出をする際に、倉庫の新名称を申請書類に記載することになりますので、倉庫が新名称に変更されたことを社内でしっかりと周知するようにしましょう。

6.資本金又は出資の総額の変更

会社や個人の名称や住所以外にも変更した場合に届出が必要な事項があります。それは株式会社の資本金や、合資会社や合名会社の場合は出資の総額を変更した際には届出が必要です。法人の場合は資本金額の記載された登記簿の抄本を、個人の場合は資産調書を添付して届出をします。

7.倉庫の使用権原の変更

倉庫の所有者等が変更になるなどの理由により、倉庫を使用するため権利関係が変更された場合はその届出をする必要があります。例えば、賃貸で倉庫を使用しており、その倉庫の所有者が変更になったため、賃貸契約を締結し直した場合は、その賃貸契約書を添付します。

8.倉庫を現状のまま他の倉庫業者が引き継いで営業する場合

倉庫を違う倉庫業者が使用することになった場合は、多くの場合、変更登録申請などの手続きが必要となりますが、特定の条件を満たす場合は、新しく入る倉庫業者は軽微変更届を提出するだけで済みます。

詳しくは以下のコラムをご覧ください。

営業倉庫の賃貸 貸主と借主の手続き 営業倉庫の貸主・借主それぞれの手続きについて解説

新しく倉庫を使用する倉庫業者は軽微変更届ですが、今まで倉庫を使用していた倉庫業者は用途廃止届または営業廃止届をていs

9.倉庫の主要構造以外の構造の変更又は屋根及び外壁に係る配管の設置その他の構造耐力上支障がない軽微な変更

倉庫の主要構造とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」のことを指しますが、これらが改修などにより変更された際には変更登録申請が必要となります。(主要構造の変更は建築確認申請も必要となります)

倉庫業の変更登録を解説:申請が必要な変更と手続きについて 倉庫業の変更登録を解説:申請が必要な変更と手続きについて

この主要構造を変更する以外にも軽微変更届の提出が必要な改修があります。大きく「倉庫の主要構造以外の構造の変更」と「構造耐力上支障が無い軽微な変更」の二つに分けられています。

(1) 「倉庫の主要構造以外の構造の変更」

a 天井、間仕切り壁その他倉庫の主要構造部以外の構造を変更する場合

建築基準法第二条5項では主要構造以外を「建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分」としています。これに加えて「天井」に変更があった場合に届出をする必要があります。

b 倉庫を定温倉庫とする場合において、断熱材等の防熱装置を設置する場合(断熱装置の設置により、屋根等の構造に変更を加える場合を除く。)

認定トランクルームでは定温性能が重要となりますので、影響を与える断熱材等の防熱装置を設置した場合は届出が必要です。ただし屋根等の主要構造に変更を加える場合は、軽微変更届ではなく変更登録申請となります。

(2) 「構造耐力上支障が無い軽微な変更」

a 倉庫を定温倉庫とするため、主要構造部に小口径の配管等を貫通させる場合、ボルト用の小孔をあける場合等構造耐力上支障がないと認められる場合

通常、主要構造に変更を加える場合は変更登録申請が必要としますが、認定トランクルームの定温性能のために、構造耐力上支障がない程度に変更を加える場合は、軽微変更届で済みます。構造上支障がないかは、念のため改築の際に建築士に相談するようにしましょう、

b 機械警備装置、防火戸等の倉庫明細書記載の倉庫の設備を変更する場合。なお、倉庫の修理(損傷部分を既成の材料と同質の材料により修復すること)の場合は、倉庫の構造に変更を加えたものと認められないことから、軽微変更の届出を要しない。

倉庫の設備には、付属設備の項目があり「消火設備」「防犯設備」「防そ設備」「遮熱措置」「その他の設備」となっています。倉庫の種類によってはそれらの項目も重要な審査基準となっていますので、変更された場合には届出が必要となります。ただ修理として同質のものと置き換えられた場合は、届出する必要はありません。

届出の具体的な手順

提出期限

変更が発生した後30日以内に所轄の運輸局に提出します。

提出先

倉庫業者の名称や住所の変更、代表者の変更、資本金の変更など、その倉庫業者自体の変更に関することは、会社や個人の所在地を所轄する運輸局に提出します。

倉庫の名称や住所の変更、倉庫の使用権原内容の変更、倉庫の用途廃止又は他の倉庫業者の現に使用している倉庫の承継の届出は、その倉庫の所在地を所轄する運輸局に提出します。

営業所の名称や住所、連絡先等の変更は、営業所の所在地を所轄する運輸局に提出します。

それぞれ所轄する運輸支局がある場合は、運輸支局を経由して運輸局に提出することができます。

※現在はメールでの届出が可能になっています。

提出書類

「軽微変更届出書」という表題の書類と、それぞれの変更事由に合わせた添付書類を合わせて提出します。ただし、変更に伴う施設設備基準への適合状況の確認はされませんので、それらについての添付書類は必要ありません。

正本1通と副本1通の合計2通です。運輸支局を経由して提出する場合は、副本がさらに1通必要となります。メールで提出する場合は、1通で済みます。