なぜ開業や投資において準工業地域の倉庫がおすすめなのか

この記事は約 8 分で読めます。

倉庫を建てたり、もしくはすでにある倉庫を入手しようとする場合は以下のような理由が想定できます。

  • 倉庫業を営みたい
  • オーナーとなりテナント収入を得たい
  • 倉庫を改修して他のビジネスをしたい

倉庫を入手する目的はバラバラであっても、この用途地域にある倉庫を入手するべき!というものがあります。

その用途地域とは『準工業地域』です。

なぜ準工業地域がおすすめなのか

その理由とは、ずばり準工業地域に建てられた倉庫がもっとも多様な用途に活用できるためです。

都市計画法によって用途地域別に建てられる建築物が決まっていますが、その中でも準工業地域は規制が少ない地域となっています。

多くの用途に使用できる地域のメリットとは

たとえば倉庫業を営む目的の場合、近隣の産業が多種多様な方が時代のニーズやクライアントの業績に左右される可能性を最小限にすることができます。工業専用地域などの同一の業種が集まる地域では、その業種の景気が良い時には収益を上げることができますが、反対に景気が悪くなるとその業種とともに共倒れする可能性があります。

またどのような目的であっても準工業地域であれば、いずれ倉庫を売りに出すときでも買い手が見つけやすいというメリットがあります。

つまり多くの用途に使用できる地域であると以下のようなメリットがあります。

  • 業種別の景気に左右されにくい
  • 用途変更の選択肢が多い
  • テナントを見つけやすい
  • 売却先を見つけやすい

それでは具体的に準工業地域はどのような用途地域なのでしょうか。

準工業地域の概要

準工業地域は「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする」と規定された地域です。その用途目的の広さのために、工場がほとんど無く一戸建て住宅や木造アパートが立ち並ぶ地域があったり、逆に工場だけがあるような地域もあり、各地それぞれ独自の風景を作り出しているのが特徴です。

ただ都心部では工場跡地にマンションが立つことも多く、近隣の工場による騒音がトラブルになってしまうこともあります。

準工業地域の用途制限

東京都都市整備局にて公開されている用途制限の一覧(PDF)は以下のようなものです。準工業地域は右から3つ目の列にあたります。

左の列に建物を使用できる用途の種類が書いてあり、右の列のほうに◯がついてるとその地域にその建物を建てられるという意味です。

ぱっと見でも準工業地域の列に一番多くの◯がついていることがわかると思います。

一覧では細かいところがわかりにくいかも知れないので、準工業地域の「可能な用途」と「不可能な用途」とで抜粋して記載していきたいと思います。

可能な用途

以下のものが準工業地域では建てられます。

住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿
兼用住宅で、非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ面
積の2分の1未満のもの
店舗等店舗等の床面積が150㎡以下のもの
店舗等の床面積が150㎡を超え、500㎡以下のもの
店舗等の床面積が500㎡を超え、1,500㎡以下のもの
店舗等の床面積が1,500㎡を超え、3,000㎡以下のもの
店舗等の床面積が3,000㎡を超え、10,000㎡以下のもの
店舗等の床面積が10,000㎡を超えるもの
事務所等事務所等の床面積が150㎡以下のもの
事務所等の床面積が150㎡を超え、500㎡以下のもの
事務所等の床面積が500㎡を超え、1,500㎡以下のもの
事務所等の床面積が1,500㎡を超え、3,000㎡以下のもの
事務所等の床面積が3,000㎡を超えるもの
ホテル、旅館
遊戯施設・風俗施設ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場等
カラオケボックス等
麻雀屋、パチンコ屋、射的場、馬券・車券発売所等
劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ等
キャバレー等
公共施設・病院・学校等幼稚園、小学校、中学校、高等学校
大学、高等専門学校、専修学校等
図書館等
巡査派出所、一定規模以下の郵便局等
神社、寺院、教会等
病院
公衆浴場、診断所、保育所等
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等
老人福祉センター、児童厚生施設等
自動車教習所
工場・倉庫等単独車庫(附属車庫を除く)
建築物附属自動車車庫
倉庫業倉庫
自家用倉庫
畜舎(15㎡を超えるもの)
パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋、洋服店、畳屋、
建具屋、自転 車店等で作業場の床面積が50㎡以下
危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場
危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場
危険性や環境を悪化させるおそれがやや多い工場
自動車修理工場
火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯 蔵・処理の量量が非常に少ない施設
量が少ない施設
量がやや多い施設

不可能な用途

以下のものが準工業地域では建てられません。

遊戯施設・風俗施設個室付浴場
工場・倉庫等危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある工場
火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯 蔵・処理の量量が多い施設

まとめ

驚くべきことに準工業地域では建てられない用途は3種類しかありません。

ちなみに個室付浴場については商業地域のみ、危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある工場と火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯 蔵・処理の量が多い施設については工業地域か工業専用地域に建てる必要があります。

環境や立地条件を考える前にまずは準工業地域であることを第一条件として倉庫または土地を探していただけると良いでしょう。自治体の都市計画課などで都市計画図を購入したり、問い合わせればどこが準工業地域になっているか分かります。

関東限定ですがこちらの記事も参考にしていただけばうれしいです。都市計画法の簡単な説明と各自治体の問い合わせ窓口について記載しています。