倉庫業と利用運送事業は、法律も運輸局の管轄もまったく違いますが、倉庫に荷物を保管し、トラックを手配して運び出すという点では実はとても良く似ている事業といえます。
利用運送事業では、荷物を一時的に保管する保管施設として自家倉庫を申請することが可能です。このような利用運送事業の保管施設は、倉庫業法においては倉庫業登録が不要とされています。
しかしここで疑問が生じるかもしれません。
「本当に利用運送事業の認可を受けていれば、すべての保管施設では倉庫業登録が不要なのか?」
「倉庫業登録を受けていれば、利用運送のような事業は無許可でできるのか?」
「あるいは場合によっては、両方の許可が必要なのか?」
倉庫業と利用運送の業態があまりに似ているため、こうした疑問が出てくるのも当然です。
しかしながら実は、 倉庫業か利用運送事業かを見分けるのは、とても簡単なことなのです。
- 荷主から保管料を領収するなら『倉庫業の登録が必要』
- 運送料を領収するなら『利用運送事業の認可が必要』
- 両方の名目で領収するなら『両方の登録および認可が必要』
例えば、利用運送において荷主から長期間の保管を依頼され、運送料とは別途に保管料を領収する契約を結ぶならば倉庫業登録を受けるべきでしょう。また単純に運送に関係なく荷物を保管する場合も同様です。
一方、倉庫業において、客の要請により荷物を運び出す際に特定の実運送事業者を手配し、運送料を領収する場合は、利用運送事業の認可を受ける必要があります。ここで分かりにくいのが、通常の倉庫業でも荷主の依頼により荷物を運び出す運送取次との違いです。
利用運送事業は、あくまで運送事業であるため、運送中の事故による物品の損害などについて責任を負うことになります。一方、運送取次はその責任を負うことはありません。具体例として、コンビニエンスストアでの宅配便の受付業務が運送取次に該当するため、イメージしやすいでしょう。この運送取次の範疇を超え、運送料を領収するのが利用運送事業だと理解してください。
もちろん荷物を倉庫で保管し、トラックを手配しても、お金をもらっていないのであれば両方ともに無許可でできます。
このように多くの許認可が必要な事業は、その行為について料金を領収していないのであれば、許認可が不必要であると規定されています。
明らかに利用運送事業の一時保管の範囲を逸脱している場合は、倉庫業の登録が必要となります。たとえば3PL事業で売れたら出荷、一定期間以上、売れ残ったならば返送などの場合です。この場合、当初から出荷先や出荷日など決まっていないため、利用運送事業の一時保管とは言えないため、別途倉庫業の登録が必要となります。
玉藻行政書士事務所では倉庫業の新規登録および利用運送事業の認可について取り扱っております。お気軽にご相談ください。
対応範囲 | 東京都・千葉県北西部・埼玉県 |
料金 | 倉庫業新規登録(1類倉庫)385,000円(税抜)~
利用運送事業新規登録(第一種)200,000円(税抜)~ |