事業拡大では定款の変更を忘れずに【一般貨物自動車運送事業】

一般貨物自動車運送事業のために会社を設立するのならともかく、事業拡大として始める方で忘れがちなのが定款の変更です。

一般貨物自動車運送事業の許可申請においては、定款の写し登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の提出が必要です。なぜならば許可にあたりその会社がちゃんとした体裁を整えているのかをチェックするためです。

特に登記簿謄本においては『事業目的』に一般貨物自動車運送事業が含まれている必要があります。

今回は事業拡大として一般貨物自動車運送事業を始める方に向けて定款の変更をやり方をご説明いたします。

注意
あまり知られていないことですが、許可の審査基準は各運輸局によって異なっています。それは貨物自動車運送事業法をもとに各運輸局の局長が審査基準を定める決まりとなっているためです。そのため玉藻行政書士事務所のコラムでは基本的に関東運輸局の審査基準についての解説となりますのでご注意ください。

提出書類

一般貨物自動車運送事業の許可申請で提出する書類には以下の2つが含まれています。

  • 定款の写し
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

定款について

定款は会社設立時に作成した以降はあまり使用する機会がないのが普通ですが、許可申請のように行政機関と関係する場合には写しの提出が求められます。

定款とは会社の基本的な情報について定め、そのことを記した書類のことですが、会社法では以下の事が絶対的に記載するべき事項(絶対的記載事項)として指定されています。

絶対的記載事項

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額または最低額
  5. 発起人の氏名または名称および住所
  6. 発行可能株式総数

この1番目の目的が『事業目的』のことを指します。

これから事業をするわけですから、この目的の項目の中に一般貨物自動車運送事業の記載がなくてはなりません。つまり会社設立時に設定したこの目的に一般貨物自動車運送事業が含まれていないならば、定款の変更をする必要があるのです。

ただし定款の変更といっても実際に書面による定款を書き換えるということはしません。

定款の変更方法

会社設立当初に作成した定款は『原始定款』といいますが、その原始定款に『株主総会の議事録』を合わせれば定款の変更は完了します。

会社法では事業目的を変更する場合は、株主総会の特別決議を経る必要があると定めています。株主総会は定時でも臨時でも構いません。ただ出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得る必要があります。

無事可決したらその旨の株主総会の議事録を作成し原始定款とともに保管します。この原始定款と議事録がセットになることで新たな定款になるわけです。また議事録はその後の登記の変更時にも必要になります。

原本証明とは

原本証明とはその書類の写しが原本と相違がないことを証明するためにされる処理のことです。

関東運輸局の一般貨物自動車運送事業の許可申請においては義務付けられてはいませんが、念のために定款の写しには原本証明を付けると良いでしょう。

原本証明では、定款をコピーしたら各ページに代表印で割り印を押し、最後のページに以下のような文言を書き入れます。

この定款の写しは、原本と相違ないことを証明する

〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇 印

 

議事録の写しについても提出を求められてた場合、同じように原本証明をつけると良いでしょう。

登記簿謄本について

会社設立時では定款を作成し、その定款を公証役場で認証してもらい、その後に法務局にて登記します。

昔は法務局では登記された定款を登記簿として保管し、その登記簿の内容が照会された場合は登記簿謄本として交付していました。(謄本とは写しのことです)しかし現在では登記簿は電子化されてしまったのでそのコピーである謄本も存在していません。そのため登記の内容は「登記事項証明書」として交付されています。ただ今でも慣習として登記簿謄本という言葉は使われています。

定款の変更後は会社設立時と同じようにその旨を法務局にて登記してもらう必要があります。ただし会社設立時と違って公証役場での認証の必要はありません。

このことを変更登記といいます。

変更登記の方法

法務局のサイトに掲載されている株式会社変更登記申請書に記入の上、添付書類とともにお近くの法務局また出張所にて登記します。

参考 商業・法人登記の申請書様式法務局

『1-12 株式会社変更登記申請書(目的の変更)』が該当箇所です。

登記においては以下のものが必要です。

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 『登記すべき事項』CD
  • 登録免許税3万円分の収入印紙
  • 株主リスト

無事に変更登記が完了しましたら一週間ほどで法務局に保管されている情報も更新されます。更新後の情報にて登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取得してください。