いままでこちらの事務所のコラムには書評は投稿していませんでしたが、Wordpressでの編集も慣れて来ましたのでアウトプットを兼ねてこちらで書評を投稿していきたいと思います。
[amazonjs asin=”4414304229″ locale=”JP” title=”影響力の武器第三版: なぜ、人は動かされるのか”]内容紹介
社会で騙されたり丸め込まれたりしないために、私たちはどう身を守れば良いのか? ずるい相手が仕掛けてくる“弱味を突く戦略”の神髄をユーモラスに描いた、世界でロングセラーを続ける社会心理学の名著。待望の第三版は新訳でより一層読みやすくなった。楽しく読めるマンガを追加し、参考事例も大幅に増量。ネット時代の密かな広告戦略や学校無差別テロの原因など、社会を動かす力の秘密も体系的に理解できる。
内容(「BOOK」データベースより)
セールスマン、募金勧誘者、広告主など承諾誘導のプロの世界に潜入。彼らのテクニックや方略から「承諾」についての人間心理のメカニズムを解明。情報の氾濫する現代生活で、だまされない賢い消費者になると共に、プロの手口から人を説得するやり方を学ぶ。
本のおすすめ度
本の章題
- 影響力の武器
- 返報性ー昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが…
- コミットメントと一貫性ー心に住む小鬼
- 社会的証明ー真実は私たちに
- 好意ー優しそうな顔をした泥棒
- 権威ー導かれる服従
- 希少性ーわずかなものについての法則
- てっとり早い影響力ー自動化された時代の原始的な承諾
読んで良かった度
内容紹介にも書かれている通りこの本は世界的に爆発的に売れロングセラーとなっています。そのような本を読む時に気になるのが、『自分自身にとって新規性はあるのか』ということです。
今やTVに限らずネットにおいても情報を流して収益が生むというビジネスが常識となっています。そのような状況においてはこのような有名な本は情報元として、使い古されている可能性があります。
つまり「すでにTVやネットで見たことある内容が書かれているかも…」という不安があったわけです。
しかしながら驚いたことに本の初め~中盤に関しては知らなったことが多くあったのです。この点だけでも個人的には読んでとても良かったと思っています。
私自身にとって本当に初めて聞く原理や実験内容も多くあり、ページをめくるたびに多くの発見や驚きを感じることができました。
ただ終盤は、知っていたことや本の中ですでに何となく理解していた項目なため少し読み飛ばしながら進めてしまいましたが、それでも引用される実験や体験談はこちらを飽きさせずにいてくれました。
世間的評価
この手の本を読み進めて行く際に、気になるのが世間的評価です。やはり評価が悪い本を読む気にはなりませんよね。
『影響力の武器』は本国アメリカでもとても評価が高い本のようです。
初版は1984年に出ていますので、古い部類の本になりますが現在でもアメリカ本国のAmazonにおいてカテゴリー2,3位にランクインしています。(オーディオブックと書籍)
レビュー数は2,023件で☆4.5ですから驚異的な評価ですね。カテゴリー名のConsumer Behaviorは「消費者心理」ですから、本国では騙されないようにする対策として読む本というよりかは売る方に向けて書かれているものとして認知されているようです。
読みやすさ
文章はとても平易な言葉で書かれており読みやすいです。
翻訳もとても自然な言葉と流れとなっており、翻訳本独特の鼻につく言い回しはありません。特に著者が誠実に感じられるような文体であることから、翻訳者の方の腕が確かなことがわかります。(下手な翻訳本だと著者がなぜか嫌味たらしい感じになってしまいます。)
著者がアメリカ人なこともあり固有名詞や例え話で出される物事自体が馴染みがないことも多々ありますが、それも違和感がなく引っかかることもありません。
ただ途中で挿入される『読者からのレポート』によって文が分割されてしまうため読むリズムが崩れてしまうのが残念でした。
かかった時間
本文は450ページ以上あるので、それなりのボリュームです。一日一時間ほど集中して読書時間を設けましたが、読了までに一週間ほどかかってしまいました。ただ気になった点を逐一ノートに書き写していたので余分な時間がかかってしまったかも知れません。
値段
Amazonで2,916円でした。中古でもあまり値崩れしてませんので新品で購入しました。
ハードカバーの本ではこれぐらいは当たり前でしょうが、もう第三版にもなっているのだから文庫本で出したら良いのに…とは思います。
見た目
四六判(W127×H188mm)より大きくA5(W148×H210mm)より小さいサイズです。他の書籍とはきれいに並べられない可能性があります。
しっかりとしたハードカバーの表紙に光沢のあるカバーがかかっています。幅が広い帯がついていましたが邪魔なので捨ててしまいました。栞紐(スピン)もついてます。
総合評価
しっかりした造りでなかなかのボリュームがある本なのでとっつきにくいと思われがちですが、とても読みやすく、人に心理(もしくは原理)について興味がある方には誰にでもおすすめできる本です。各章ごとにしっかりと分けられて書かれていますので、時間があまり取れない方でも合間合間に読んでいきやすいと思います。
総合評価が☆4.5になったのは、やはり価格がハードカバー価格分の☆0.5が引かれたためです。